​ワークショップ S4512:00〜13:30 紙漉き教室 田村 正 氏(紙漉き師)

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和紙文化を背景に、子どもたちに伝えたい

I want to convey to children against the background of Japanese paper culture

 田村 正(TAMURA tadashi)

京都工芸繊維大学工芸科学部非常勤講師   紙漉き師

(Part-time lecturer, Faculty of Crafts and Science, Kyoto Institute of Technology   Papermaker)

「私におへそを向ける!」

 初顔合わせの第一声が「私におへそを向ける!」にしています。正面を向きなさい! 小学校の視聴覚室に私の言葉が響きわたるようスタートしています。あいさつをする前に発する言葉「私におへそを向ける!」と同時に子どもたちに正面向いたまま横にずれて、「私におへそを向ける!」で私に寄り添い正面を向いてくれ笑顔の優しい子どもたち、ぴりりとした空気を感じてもらい「こんにちわ」で授業が始まります。あっ、失礼その前に「全員立ち上がって」が第一声でした。   紙漉き道具や和紙原料を全て準備し小学校へ出向き紙漉き体験教室を始めたころは(30年継続して伝えています)体育館或は視聴覚室で子どもたちが体育座りし私が来るのを待機。先生の号令で座ったまま「礼!」で、ちょこんと頭を下げる子どもたち。先生が延々と私のプロフィールを話す場面や前回体験した先生が私の紙漉き授業のネタバラシの話をしたり、興味なさそう何だか退屈そうに過す子どもたちだったりなど、統一感が無かったが郷に入れば後に従えと勘違いしてそのまま受け入れていました。私が貰った時間は少ない、余分な時間は取られたくない思いから、冒頭から私の時間でスタートするよう先生にお願いし、和紙文化を伝える「事業」を小さな”ゅ”を入れて「授業」にし”濁点”を抜いた「修業」として取り組んでいます。

「技術は伝わらない」                

 私の活動は「世界にたった一枚しかない自分で作った和紙」をそれも植物が紙になる瞬間に立ち会う体験してもらうこと。道具や材料準備をし子どもたちの前に立ち実践してきました。楮原料から和紙になるまでを大変な思いをして作った事で流れは分かったとしてもそれで技術を伝えたことにはならない。そう考えたとき“伝えること”とは私のこれまで培った「思いを伝える」で良いと考えた。挨拶はきちんとする事。真剣に取り組む事。楽しく取り組む事などが伝わる努力で充分満足できると考えた。

「事前準備」

今年は和文化教育学会の発表のあと8校の小学校で紙漉き体験教室を開催する。初めて体験する教師は何をするか分かりかねると思うので流れが分かる案内をしながら、図工専科や担任と電話やメールでやり取りをし当日を迎える。

以下、最近の小学校図工専科の先生と取り決めた案内を紹介します。

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大切なもの ーーー6年生だからの取り組みーーー

小関恵子 (東大和市立第8小学校 図工専科)

「題材について」

 最高学年である6年生。今感じている自分の想いと向き合い、これまで大切にしてきた「もの」について考えることを通して、これまでの生活を振り返るとともに、自分が成長してきたことを実感し、それを支えてきてくれた人達への感謝の気持ちや、卒業に向けてこれから自分がどのように歩んでいくかを考え、その想いを自分で漉いた世界に1枚の和紙に込める。

「体験を通して」

「百聞は一見に如かず」と言いますが、子供達にとっては「百見は一体験に如かず」。言葉で説明しつくせない多くの事を、師匠と過ごす時間から感じとります。紙漉きの技術的なことはもちろん、師匠の紙に対する想いや仕事に対する姿勢。子供達も自然と背筋が伸びます。ピリッとした緊張感の中に、ものごとに真剣に取り組むという「楽しさ」を学びます。

 師匠の想いと共に、作品づくりにも熱が入ります。真剣になることを学んだ子供達。本番の和紙に取り組む時間はシーンと静まり、緊張感が教室を包みます。

 作品を見てくださった保護者の方からも、喜びの声を多くいただきます。卒業の記念になる作品づくりができました。千年もつという和紙に、今の想いを込めてみませんか?

桑の木で紙すき 卒園証書に 〜秩父花の森こども園〜

 秩父市下吉田に移転した「花の森こども園で20、21日の両日、桑の木を使った手作りの卒園証書を作るイベントがあった。子供たち約30人が園庭で紙すきに熱中。水の冷たさにも負けないで、楽しそうに作業を続けた。

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中学校美術部顧問の先生からいただいた、体験者からの手紙(2021年2月開催)

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師匠へ

 先日は私達美術部のために紙漉きを教えてくださり、ありがとうございました。

私は、以前から紙漉きをしてみたいと思っていましたが、なかなかできる機会がありませんでした。なので今回できて、とってもうれしかったです。作業の中で、少し難しいところもありましたが、全て楽しんで取り組むことができました。師匠が今まで一度もやめたいと思ったことがないというのが分かるような気がしました。また自分で紙について調べたりして、より理解を深めていきたい思います。

師匠の作るものと私達が作るものでは大きな差があり、技能を受け継いでいくことの大変さが分かりました。より紙に興味がわきましたし、とても勉強になりました。作った紙は、大切に使っていきたいと思います。

    (東京都中央区)中学2年  M

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職人仕事は出職と居職に分かれます。現場合わせが必要な職人仕事は出職。紙作りはどこにも移動できない正に居職の典型。それを敢えて出職の仕事に、どこにでも伺い和紙・紙漉き教室開催致します。